「いしみ」と書いて「いわみ」。温泉津温泉のある島根県中部は、石見地方(いわみちほう)と呼ばれています。
ここで、はるか昔から受け継がれている伝統芸能が、石見神楽(いわみかぐら)。日本神話になぞらえた数々の物語を、舞で表現して神様にささげます。
神楽は全国各地にありますが、石見神楽は、とてもエキサイティングで華やかなのが特徴。金や銀、鮮やかな和カラーを使ったきらびやかな衣装に身を包んだ舞子(踊り手のこと)が、舞台の上で激しく踊ります。
舞の演目は「神と魔物との戦い」がメインテーマ。
人々を苦しめる悪鬼を神が退治したり、伝説の妖怪に勇ましい武将が立ち向かったり。どれも手に汗握らずに見ることはできません。
最初はゆっくりだった笛、鐘、太鼓の演奏がだんだんと早くなり、やがてスピード感あるビートへと変わるタイミングが戦いのはじまり。まさに血わき肉踊ります。
石見神楽は、日本の文化財である「日本遺産」に登録されているほどハイレベルな舞です。ところが、踊っているのは舞踏のプロではなく、普段は町民として暮らしているごく一般の人々。毎週のように練習をかさね、口伝えで舞を受け継いでいます。
町に生きる人々が親から子へと伝承し、安全や開運を願って舞うのが石見神楽。ここでしか味わえない空気感と迫力が、見る人の心をふるわせる「祈りの極上エンターテイメント」です。